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FASCIA & TRIGGER POINT - 筋膜とトリガーポイント -

Fascia(筋膜について)

fascia(ファシア)という言葉を初めて耳にする方もいらっしゃるのではないでしょうか。
日本では筋膜と訳されることが多く、近年メディアに取り上げられる回数が増えてきた言葉のひとつでもあります。
主に「筋肉を包む膜」という意味合いで使われることが多い言葉ですが、筋肉以外の部位にも無数に存在します。
膜は、人体を構成するすべてのものを包み、全身の隙間という隙間に入り込み様々な器官と器官を繋ぐネットワークとして体内に張り巡らされています。

例えば、臓器ひとつひとつを包む膜もfascia(ファシア)ですし、皮下に存在しボディースーツのように体を包む膜もfascia(ファシア)である。
よって、ここでは筋膜と表現せずに敢えて『膜』と表現します。
※海外では筋膜は「myofascia」、膜は「membrane」と区別して使われる。

《膜の構成》

皮膚の下にあり全身を包む「Superficial fascia(浅筋膜または皮下筋膜)」や 筋肉そのものを包む「Deep fascia(深筋膜)」、筋単体を包む筋外膜、筋線維を束ねる筋周膜、線維を包む筋内膜などは、「主細胞、線維、基質」で構成されており、伸び縮みができ、素早い動きによる摩擦と強い力にも耐えられる構造になっています。

主細胞…維芽細胞、筋線維芽細胞
線維…コラーゲン線維、エラスチン線維、レチクリン線維
基質…ヒアルロン酸(グリコサミノグリカン)、プロテオグリカン

a.大きく分けると浅筋膜と深筋膜の2層に分けられる。

浅筋膜
(Superficial fascia)
皮膚の直ぐ下にあり、ボディースーツのように体全体を被う膜。別名、「皮下筋膜」とも言われる。主に身体をまもる働きを担う。
深筋膜
(Deep fascia)
筋肉そのものを被う膜のことを言い、大きく分けると4つの層に分類される。筋肉の固定、接する組織との摩擦軽減。筋の反応を助ける作用がある。

b.深筋膜の分類

①筋膜 それぞれの筋肉を被っている膜。腱や靭帯、骨膜に付着する。
②筋上膜 筋膜の直ぐ内側にある膜で筋肉(筋群)を被う膜。
③筋周膜 数十個の筋線維を束ねている膜。
④筋内膜 筋線維単体を被っている膜。

《 一般的な筋膜の役割 》

  • 身体を外的刺激から衛る。
  • 心臓や肝臓、腎臓などの臓器を保持する。
  • 骨や靭帯、腱も被っており、身体を支持する。
  • 筋と筋の摩擦を軽減しスムーズに滑らせることを可能にする。

《 あまり知られていないが重要な役割 》

  • 老廃物を排泄しバクテリアを退治する
  • ※リンパ管、免疫細胞の存在
  • 発痛物質に反応し痛みを感じる知覚を司る。
  • 筋肉の収縮とは別に単独で収縮し、適度に筋肉の緊張を高める。
  • 耳の前庭器官などの感覚器と共に作動し、姿勢や動きなどを記憶する。
  • 神経(自由神経終末 / 受容器)の密な分布
⇒これらの神経が動作痛に関与していると考えられる。

《 膜をイメージしてみましょう 》

膜をイメージするのが難しい方は、鏡でご自身の眼をご覧ください。
筋を包む膜とは構成が少し違いますが、イメージを理解するにはもってこいです。
観察すると、瞼の裏から白眼の部分までを血管が混じった結膜が覆っているのを容易に確認できると思います。これがいわゆる「膜」です。
膜が眼球の動きに合わせて伸び縮みし、瞼側と白眼側の膜が互いに滑りあい、スムーズな動きを実現しています。
正常(理想的)な状態の膜は隣り合う膜と滑り合うことで互いの摩擦を軽減し、様々な動作を滑らかに行う手助けを担っており、この互いにスライドする摩擦軽減システムは、「滑走システム」とも言われ人体の3D運動に不可欠なとても重要な存在なのです。

膜の重要性がわかったところで、大切なポイントをもうひとつおつたえします。
「膜の滑走には液体成分が不可欠である」と言う点です。
上記の眼の場合、涙がなければ眼球をスムーズに動かすことはできません。
筋の場合は、涙の代わりに「基質(主にヒアルロン酸)」が役目を担ており、関節の曲げ伸ばしや捻る動作を円滑に行う手助けをしてくれています。

また、涙が出にくくなると目は乾燥し「痛み」「異物感」などの独特な感覚を覚えると思います。同様に筋の膜もヒアルロン酸の水分低下が起こるとドロドロな状態になりスライド能力が低下し「可動域制限」や「張り」を感じます。ひどくなると伸張性低下、組織同士の滑走性低下が起こり、隣接する膜と膜とが癒着します。この状態で癒着部位に牽引刺激が起こると侵害受容器(痛みのセンサー)が反応し、「痛み」を感じてしまうのです。
寝違いやギックリ腰などの動作痛は、これが原因です。
そのような場所をエコーで観察すると、画像上は「層状かつ帯状の高輝度部位、(白く厚く重積した像)」として観察されることが多く、異常な膜を示す所見の一つとしてとても注目されています。
特に、筋外膜には非常に多くの侵害受容器(痛みのセンサー)が存在していること、異常な膜に対するアプローチにより症状の改善が見込まれることなどが多数報告されており、今後の報告にますます期待がかかります。

《 現在、考えられている効果的なアプローチ方法 》

目の場合は目薬をさすなどの処置を行いますが、筋の場合は、巷で言う筋膜リリース(ファシア・リリース)を行います。方法は大きく4つ

  • 注射にて生理食塩水を異常部位に注入
    (ハイドロリリースまたはハイドロダイセクション)
  • 鍼施術(当院では、トリガーポイント鍼)
  • 徒手療法(当院では、fascia slide and release®︎)
    (ファシア スライド&リリース…皮膚を大きくずらす特殊なマッサージ法)
  • 低負荷での反復動作
    筋に負荷をかけずに反復動作を行い、膜同士のスライドを促す。

当院では、2〜4までの処置を行い皆様の症状の緩和、改善に努めてまいります。